リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
『お前、トイレのカレンダーに印つけてるだろ。マルとバツ。あれ、始まった日と終って日だろ? 日曜にじっくり見ちまったよ』
言っただろ。いろいろ生々しいもの見たって。
けけけと笑いながら、さらりとした口調で牧野が発したとんでもない言葉に、明子は膝から崩れ落ちた。
(あ、明日は、家中点検だわっ)
(そうよ)
(そういうもの、いろいろ隠さなきゃっ)
(これから、たぶん、来ることなるんだもの、この人がっ)
うきゃーと、頭を抱え込むように蹲って、だからって、よくそんなことが判ったものだと、明子は改めて牧野の頭の回転のよさに、呆れつつも感心した。
(できたら、その回転は、仕事にだけ使って欲しいんだけどね)
(そんなことに、むだに使わないで)
はあっという盛大な明子のため息に、牧野はそのため息はなんだよと、少し拗ねたような口ぶりで尋ねてきた。
「よく、カレンダーを見たくらいで、判るなあって」
『最初はな、なんの印か判らなくてな。判らないから余計に気になって、ぜったい、なんかの法則があるはずだって、必至に頭捻って考えたぞ』
どうだ、すごいだろと自慢するような声に、明子はますます頭を抱える思いで項垂れた。
「なんで、そこで必至に考えるんです。判らないなら判らないで、そのままさっくりスルーしてくださいよ。もう」
『しょうがねえだろ。そういう性分なんだから。なんか、ああいうのを見るとな。そこに潜んでる法則を、なにがなんでも見つけたくなっちまうんだよ。まあ、おかげで大事な情報は入手したしな』
「なにが大事な情報ですかっ そんなことメモリー保存しないでくださいよ」
『バカ。大事なことだろ。とりあえず、できない日と気をつける日は頭に入れた』
安心しろと言い意味深な笑い声をあげる牧野に、安心することなのかなあと、明子は床にへたり込んだまま考え込んだ。
『つうか。結婚したら気をつける日じゃなくて、ガンガンやる日だな』
恐らく、にたりと笑っているであろう牧野の顔が脳裏に浮かび、明子は茹で蛸のような顔でバカっと喚いた。
言っただろ。いろいろ生々しいもの見たって。
けけけと笑いながら、さらりとした口調で牧野が発したとんでもない言葉に、明子は膝から崩れ落ちた。
(あ、明日は、家中点検だわっ)
(そうよ)
(そういうもの、いろいろ隠さなきゃっ)
(これから、たぶん、来ることなるんだもの、この人がっ)
うきゃーと、頭を抱え込むように蹲って、だからって、よくそんなことが判ったものだと、明子は改めて牧野の頭の回転のよさに、呆れつつも感心した。
(できたら、その回転は、仕事にだけ使って欲しいんだけどね)
(そんなことに、むだに使わないで)
はあっという盛大な明子のため息に、牧野はそのため息はなんだよと、少し拗ねたような口ぶりで尋ねてきた。
「よく、カレンダーを見たくらいで、判るなあって」
『最初はな、なんの印か判らなくてな。判らないから余計に気になって、ぜったい、なんかの法則があるはずだって、必至に頭捻って考えたぞ』
どうだ、すごいだろと自慢するような声に、明子はますます頭を抱える思いで項垂れた。
「なんで、そこで必至に考えるんです。判らないなら判らないで、そのままさっくりスルーしてくださいよ。もう」
『しょうがねえだろ。そういう性分なんだから。なんか、ああいうのを見るとな。そこに潜んでる法則を、なにがなんでも見つけたくなっちまうんだよ。まあ、おかげで大事な情報は入手したしな』
「なにが大事な情報ですかっ そんなことメモリー保存しないでくださいよ」
『バカ。大事なことだろ。とりあえず、できない日と気をつける日は頭に入れた』
安心しろと言い意味深な笑い声をあげる牧野に、安心することなのかなあと、明子は床にへたり込んだまま考え込んだ。
『つうか。結婚したら気をつける日じゃなくて、ガンガンやる日だな』
恐らく、にたりと笑っているであろう牧野の顔が脳裏に浮かび、明子は茹で蛸のような顔でバカっと喚いた。