リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
『そういう体調の変化にも、まったく関心を持ってくれない冷たい夫だのなんだの、離婚の話し進めているときに詰られてな。世の中の男はみんな、そういうことに理解があるものなのかって、かみさんの親兄弟を前に聞いたぞ、俺は。あんたたちは判るのかって』
牧野のうんざりが伝染してきたかのように、明子もそうなんですかと、気の毒そうに相槌を打った。
確かに、せめて夫や恋人となった男性にくらいは、そういうことに対して理解を示してもらいたいという気持ちは明子にもある。
けれど、現実問題として、そういったことに理解のない男性は世に多く、それどころか、同性ですら理解してくれないこともあるということを、明子も身をもって経験している。
世の中には生理痛などとは、まったく無縁の女性もいて、そういう女性に生理痛の辛さを訴えても理解されず、ときには仮病を疑われることもあった。
悲しいかな、世間様というものは、まだそんなもんだ。
牧野の前妻が、女性特有のそういう症状に対して理解してくれなかった牧野を責めた気持ちは、明子にもなんとなく理解はできた。
けれど、そういうことへの関心のなさを浮気に至った理由の一つにされたら、牧野としても納得いかなかっただろうし、やり切れなかっただろうなという同情も、明子の中に強く沸き起こった。
(牧野さんに愛されて……)
(牧野さんを裏切って……)
(牧野から離れていった奥さんって、どんな人だったんだろう)
そんなことを考えている明子に、牧野は医者に行かなくていいのかと、心配げに尋ねてきた。
『そういうの、医者で薬を貰うと、楽になるんじゃないのか?』
「日常生活に支障きたすような症状が出てきたら考えますけど、多分、大丈夫です。薬って言っても、処方されるのはピルとかになるかと思うんで」
『ピルって……、避妊薬に使うアレか?』
「そうです。アレでホルモンバランを整えるんですよ。まあ、症状にもよるみたいですけど。不眠とか鬱とかそういう症状が強い人なんかは、安定剤とか抗うつ剤とか処方されるとかって聞いてことありますよ」
明子の言葉に、牧野は低い声でそういうことかと、なにかぶつぶつと呟いていた。
「なんですか?」
『ん? いや、なるほどなってな』
その声はなにかを誤魔化しているような様子だったが、明子はそれ以上の追及はしなかった。
牧野のうんざりが伝染してきたかのように、明子もそうなんですかと、気の毒そうに相槌を打った。
確かに、せめて夫や恋人となった男性にくらいは、そういうことに対して理解を示してもらいたいという気持ちは明子にもある。
けれど、現実問題として、そういったことに理解のない男性は世に多く、それどころか、同性ですら理解してくれないこともあるということを、明子も身をもって経験している。
世の中には生理痛などとは、まったく無縁の女性もいて、そういう女性に生理痛の辛さを訴えても理解されず、ときには仮病を疑われることもあった。
悲しいかな、世間様というものは、まだそんなもんだ。
牧野の前妻が、女性特有のそういう症状に対して理解してくれなかった牧野を責めた気持ちは、明子にもなんとなく理解はできた。
けれど、そういうことへの関心のなさを浮気に至った理由の一つにされたら、牧野としても納得いかなかっただろうし、やり切れなかっただろうなという同情も、明子の中に強く沸き起こった。
(牧野さんに愛されて……)
(牧野さんを裏切って……)
(牧野から離れていった奥さんって、どんな人だったんだろう)
そんなことを考えている明子に、牧野は医者に行かなくていいのかと、心配げに尋ねてきた。
『そういうの、医者で薬を貰うと、楽になるんじゃないのか?』
「日常生活に支障きたすような症状が出てきたら考えますけど、多分、大丈夫です。薬って言っても、処方されるのはピルとかになるかと思うんで」
『ピルって……、避妊薬に使うアレか?』
「そうです。アレでホルモンバランを整えるんですよ。まあ、症状にもよるみたいですけど。不眠とか鬱とかそういう症状が強い人なんかは、安定剤とか抗うつ剤とか処方されるとかって聞いてことありますよ」
明子の言葉に、牧野は低い声でそういうことかと、なにかぶつぶつと呟いていた。
「なんですか?」
『ん? いや、なるほどなってな』
その声はなにかを誤魔化しているような様子だったが、明子はそれ以上の追及はしなかった。