リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「もう。どれだけバカですか。ホントに、バカっ」
玄関を開けると、遠慮の欠片もなくズカズカと家にあがりこんできた牧野の背に、明子はバカバカバカと言い続けた。
マンションの前に車を止めて電話してくるくらいなら、今から行くとそう行って訪ねてきてくれれば良かったのにと、明子の声色にはそんな怒りと呆れがごちゃ混ぜになって滲んでいた。
「もう風呂に入ってたら、行くのも悪いしなって。これでも遠慮したんだぞ」
バカを連呼している明子に、人の善意にバカとはなんだと牧野は反論するが、家の前にいる人と、なんで、ずっと電話で話してなきゃいけないんですかっと、明子も負けずに言い返した。
「電話代が、もったいないじゃないですかっ」
「あー。確かにな」
もったいなかったなと、珍しく、牧野は明子の言葉に素直に同意した。
「さっさと家あがりこんで、会社じゃ見れねえ小杉さんを見ながら、わいわい話していたほうが楽しかったな」
明子を上から下まで眺め回して目を細める牧野に、明子はようやく自分がてろんとした締まりのない部屋着姿になっていたことに気づいた。
顔がぼわっと火がついたように熱くなり、明子は上擦った声で慌てふためいた。
「これ、これは、帰ってきたら楽な格好がいいから、これは、だから、いつものやつで、パ、パジャマじゃないしっ」
頬を真っ赤に染め上げながらの支離滅裂な明子の言葉に、牧野は肩を揺らしてくつくつと笑う。
「着替えてきますっ」
笑っている牧野に更に頬を赤くして、そう言いながら寝室に篭ってしまいそうな勢いの明子の手を牧野は慌てて引いて、明子を腕の中に収めた。
玄関を開けると、遠慮の欠片もなくズカズカと家にあがりこんできた牧野の背に、明子はバカバカバカと言い続けた。
マンションの前に車を止めて電話してくるくらいなら、今から行くとそう行って訪ねてきてくれれば良かったのにと、明子の声色にはそんな怒りと呆れがごちゃ混ぜになって滲んでいた。
「もう風呂に入ってたら、行くのも悪いしなって。これでも遠慮したんだぞ」
バカを連呼している明子に、人の善意にバカとはなんだと牧野は反論するが、家の前にいる人と、なんで、ずっと電話で話してなきゃいけないんですかっと、明子も負けずに言い返した。
「電話代が、もったいないじゃないですかっ」
「あー。確かにな」
もったいなかったなと、珍しく、牧野は明子の言葉に素直に同意した。
「さっさと家あがりこんで、会社じゃ見れねえ小杉さんを見ながら、わいわい話していたほうが楽しかったな」
明子を上から下まで眺め回して目を細める牧野に、明子はようやく自分がてろんとした締まりのない部屋着姿になっていたことに気づいた。
顔がぼわっと火がついたように熱くなり、明子は上擦った声で慌てふためいた。
「これ、これは、帰ってきたら楽な格好がいいから、これは、だから、いつものやつで、パ、パジャマじゃないしっ」
頬を真っ赤に染め上げながらの支離滅裂な明子の言葉に、牧野は肩を揺らしてくつくつと笑う。
「着替えてきますっ」
笑っている牧野に更に頬を赤くして、そう言いながら寝室に篭ってしまいそうな勢いの明子の手を牧野は慌てて引いて、明子を腕の中に収めた。