リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「最後、一緒に暮らした男ってのか、これまた、とんでもないヤツでな。ちゃんと働いている男だったけどな、小さな男の子相手じゃないと、興奮しないような下種な野郎でさ」
さらりと告げられたその事実に、明子の手が思わず止まった。
興奮しない。
それがどういうことなのか、聞かずとも判った。
明子は、目の前が怒りで赤く染まっていくような感覚を覚えた。
きつく、手を握り締め、拳を作る。
込み上げる怒りを堪えるように、握り締めた。
そんな明子の気配になど気づいていない様子で、牧野には淡々と喋り続ける。
「まだ、小学生になるかならないかくらいだったからな。自分がなにをされているのか、なにをさせられているのか。そのときは、あんまりよく判ってなかったけどな。判ったときには、ショックだったな。なんか、死にたくなった」
牧野のその声は、なんの感情も篭っていない乾いた声だった。
暗い、暗い、闇の中にあるように、そんな声だった。
「俺が大きくなりすぎて興味がなくなったら、出て行っちまってな。そしたら、母親が怒るんだ。お前のせいで、出て行ってしまったって」
「ひどい」
牧野の言葉に、ようやく、一言だけ、明子はそう吐き出した。
たった一言の言葉だが、深い怒りが込められていた。
牧野は「だよな」と、少しだけ笑い混じりの声で、明子の言葉に答えた。
「ちゃんと、相手をしなかったのかって。嫌がったりしたのかって。あの女、自分の息子がどんな目に合わされているのか判ってて、それでも、あんな屑みたいな男にいて欲しい一心で、見ない振りしてたんだ。ずっと」
ロクでもない親だろ。
静かな暗い声で牧野はそう言って、いっそう、きつく明子を抱きしめた。
さらりと告げられたその事実に、明子の手が思わず止まった。
興奮しない。
それがどういうことなのか、聞かずとも判った。
明子は、目の前が怒りで赤く染まっていくような感覚を覚えた。
きつく、手を握り締め、拳を作る。
込み上げる怒りを堪えるように、握り締めた。
そんな明子の気配になど気づいていない様子で、牧野には淡々と喋り続ける。
「まだ、小学生になるかならないかくらいだったからな。自分がなにをされているのか、なにをさせられているのか。そのときは、あんまりよく判ってなかったけどな。判ったときには、ショックだったな。なんか、死にたくなった」
牧野のその声は、なんの感情も篭っていない乾いた声だった。
暗い、暗い、闇の中にあるように、そんな声だった。
「俺が大きくなりすぎて興味がなくなったら、出て行っちまってな。そしたら、母親が怒るんだ。お前のせいで、出て行ってしまったって」
「ひどい」
牧野の言葉に、ようやく、一言だけ、明子はそう吐き出した。
たった一言の言葉だが、深い怒りが込められていた。
牧野は「だよな」と、少しだけ笑い混じりの声で、明子の言葉に答えた。
「ちゃんと、相手をしなかったのかって。嫌がったりしたのかって。あの女、自分の息子がどんな目に合わされているのか判ってて、それでも、あんな屑みたいな男にいて欲しい一心で、見ない振りしてたんだ。ずっと」
ロクでもない親だろ。
静かな暗い声で牧野はそう言って、いっそう、きつく明子を抱きしめた。