キスはおとなの呼吸のように【完】
「そうしないと、相手にいやな思いをさせてしまう。それは今回の四葉屋の営業でわたしたちがさんざん味わってきたものだし、先輩だってわかるはずです」

最後にわたしはつけくわえた。

「ただのおさない屁理屈なのかもしれませんけど」

大上先輩はすべてをかみしめるように渋面をつくる。
うつむきながら、かぶりをふった。

「袴田のいうとおりだ。全部、すまない」
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