キスはおとなの呼吸のように【完】
「酒やストレスやをいいわけにするわけではないが、あのとき、この手で壊せるものはなにもかも壊したい。そんな衝動にかられた。自分にもなにかしらの力があるんだということを、自分自身でたしかめたいという気持ちもあったのかもしれない。途中でそんな自分に嫌気がさして、寝たふりをして逃げてしまったが」

そこまできいて、ようやくわかった。
わたしの家に泊めた夜の話だった。

先輩は、わたしにむりやりキスをしたときにもちゃんと意識があって、次の朝も全部覚えていたのだ。
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