キスはおとなの呼吸のように【完】
「大丈夫?」

わたしはあわててしゃがみこむ。
カズトをこちらにふりむかせ、怪我をした右手を両手でにぎった。
切れたひとさし指からは、あざやかな赤があふれて指の腹にあふれていく。

わたしはとっさに、傷口のあるひとさし指に口づけた。

「シオリ」

頭のうえから、カズトの震える声がする。
< 334 / 380 >

この作品をシェア

pagetop