キスはおとなの呼吸のように【完】
「今までは犬が見守っていてくれたけど、それは、まあ思い出かな。おれのそばには口数のすくない女神がいて、たまに口づけしてくれる。そう思うだけで、一日がんばろうっていう気持ちになるでしょ」

おじさんは首をかしげる。

「なんだかよくわからないけど、カズちゃんがこどもみたいにはしゃいでるっていうことだけはわかる。ごちそうさま」

そういってあきびんをカズトにわたし、立ちのみスペースを去っていく。

ガラス戸がしまると、ふたたびふたりきりになったわたしはカズトと目をあわせた。
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