キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしもカズトも気まずすぎて、笑う以外になにもできない。

立ちのみスペースが、へんな空気になってしまった。
悪いくせで、わたしはむりやり口をひらく。

「いいえ。大丈夫です。わたし、もう帰るところですから」

社交性のかけらもないわたしは、恥ずかしさと気まずさにまかせ、かわいげのないせりふを吐いてしまう。

それから、あけたばかりの缶ビールを一気にのみほした。
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