ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
海岸に降りて来た雪ちゃんが、あたしとお兄ちゃんを交互に見て……。


「可愛いね。有栖川(アリスガワ)の妹?」


フワリと緩められた瞳があたしを捉え、彼がお兄ちゃんに訊いた。


「そうだよ」


お兄ちゃんが答えると、雪ちゃんはあたしの視線に合わせてしゃがんだ。


「こんにちは。名前は?」


優しくて穏やかな声が胸の奥をくすぐるように響いて、何だかすごく緊張してしまった。


「なぎさ」


「名前も可愛いね」


そう言って笑った雪ちゃんを見た瞬間、あたしの中の何かがパチンと弾けたんだ。


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