優しいなんて、もんじゃない



「弥生さんから聞いたよ。ピアノ、ジャンル変えたんでしょ?」

「え、」



チラリ、弥生さんに視線を送れば「あれ良かったよ」と微笑まれた。


あれとはつまり、ユウの創ったバラード曲のことで。別に私のピアノがどうとかじゃなく、ユウの歌が凄いんだ。



それに、ジャンルを変えたというのは大袈裟。いつもと違うのはあの一曲だけで、後は弥生さんが好むジャズである。




この前ユウが来たときに、また私がピアノでユウが歌うという形であれをデュエットしたけど。


やはりユウは歌が上手かった。何だあれ、嫌みか。





「ジャンル、変えるなんて言うほど変えてませんよ。一曲だけ、知り合いから預かってるんです。」

「あ、そうなんだ?」

「はい。」


カウンターテーブルを拭き終わり、私もカウンターの中に戻り弥生さんの横に立つ。




ユウがいなければ、案外やることはない。




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