優しいなんて、もんじゃない



意味が分からない、と眉をひそめ声を荒げる私にユウは小さく溜め息を吐き出すと。


緩く口元に笑みを浮かべ、そして、ゆったりとした動作でグレーの帽子の鍔を持ち上げた。


そのまま、帽子を取ると自分の足下へと落とす。



一度視線でその帽子を捉えながらも、困惑と怪訝を現す瞳を隠すことなくユウに向けた。


帽子がないだけに、少し明るくなったユウの顔。サングラスが街頭にギラリと光り、その先の双眼をうっすら映した。




…ユウらしい、甘ったるくゆるい。でもどこか真っ直ぐで強い、眼と視線が絡まる。


嗚呼、待って、何コレ何コレ何コレ。



心臓がバクバクと激しく暴れ初め、顔が耳が全体が熱くて熱くてたまらない。



「分かる?」

「っ、」

「俺も、男なの。」



吐息混じりに囁くユウの声。やはり危険だ。

でも、それよりも危険な眼が私を捕らえて離さない。



「(心臓がオカシクなりそう。)」




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