霧の獣
俺が次に聖者に案内されたのは
怪しげさを帯びた大きな扉の前だった。
『ここです。』
やがて、聖者は続けて俺に言った。
『我はここから先に行くことは出来ません。
どうぞ、あなただけでお進み下さい。』
と。
「何故??」
俺は聞く。
『ここから先は、我ら聖者も長と管理をするもの以外の者。
つまり我の様な通常の聖者が居てよい場ではないのです。』
と、聖者は答えた。
「聖者が居てはいけない場所?」
俺の言葉に聖者は頷いた。
「何故そんな『ヴィーン』
俺は何故聖者の入ってはいけない場所に
俺が入って良いのか聞こうとしたが、
不意に扉が開いたために黙り込んでしまった。
次に口を開いたのは聖者だった。
『さぁ、どうぞお入り下さい。
我はこの扉のこちら側に待っております。』
聞くタイミングと一緒に
話すタイミングも見失ってしまった俺はそう言われ、
扉の向こう側へと歩いて行った。
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