霧の獣
紅い光を放つ妖精らしき生き物は
俺に話しかけてきた。
〈あなたの友は今この地に眠っています。〉
その声は、聖者達とはまた違っていて・・・。
そう。
何というか頭の中に
直接響いてくる様な声・・・。
「夢人はなんであんな所・・・
湖の中にいるんですか??」
俺は冷静さを見失わない様に
さっきからずっと考えていた事を聞いた。
〈夢人さんのことですね??〉
紅い光を放つ生き物は俺に言う。
「そうです。
夢人を返して下さい。」
俺は言った。
〈それは・・・申し訳ないですが
今は出来ない事なんです。〉
紅い光を放つ生き物は言う。
「何故ですか?
あなたは一体誰なんですか?」
俺は少し苛立ちを感じ
少し怒った様に言った。
〈申し遅れた。
我が名は炎雅。
この湖を守りし力の根源の様な存在。〉
炎雅は説明する様に話す。
「何故返してもらえないんですか?」
俺は問う。
〈実は我もここに居続けて大分長くなるのだが、
このような事は初めてなのです。〉
俺の問いに深刻そうに答える炎雅。
「夢人に何かあったんですか?」
俺はその様子を察して
ただ事でないと感じ取った。
〈夢人君はもちろんなんですが、
竜人の事もなんです。〉
緊迫した。重い空気が流れる。
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