霧の獣





「はっ?俺が?光の神子?
・・・どういう事・・・なんだ??」
俺は訳が分からなくなり、
頭が混乱していた。



〈人間として長い年月を過ごしていたために
前世の記憶が途絶えてしまっているのです。〉
炎雅は説明した。



しかし、炎雅のその言葉に俺は
「違う!!俺も夢人も人間だ!!」
と怒鳴る様に言い放った。



炎雅は俺が受け入れようとせずに
否定し続けているために
ため息を一つついて言った。


〈それでは問うが、そなたが森を歩いてくるとき
一度でも幻獣に襲われたか?〉



俺は首を横に振って
「いいや。襲われなかったが偶然だ。」
と言った。



〈それでは何故、お前の母親は居ないのだ??〉
炎雅は問う。



「知らない。父さんは幻獣に
襲われたと言っていた。」
俺は深刻な表情で答える。



〈それでは何故、我が湖を
見つけることが出来たのです??〉
炎雅は問いかけてきた。



「そんなの、森の中を歩いていれば
そのうち・・・〈違うのです!〉
俺の言っていることをかき消すかの様に
炎雅は言い放った。



〈そこが、普通の人間と神子の大きな違いなのです。〉
炎雅はもう一度言い直して言った。












.
< 19 / 32 >

この作品をシェア

pagetop