Sugarless -君だけがいた時間-
楓は少し笑って、それからその笑顔を、すぐにどこかに流してしまった。
「俺さあ、最近おなじ夢ばっか見るんだよね」
「夢?」
「……知りたい?」
確認するような表情で、楓は私を見つめた。
本当に知りたいんだな?
お前が知りたがったんだから、何を聞いても驚くんじゃないぞ?
試すような、牽制するような瞳が、そう私に問いかける。
「うん……知りたい」
楓はまた少し笑うと、アルバムを持つ私の手に、そっと自分の手を重ねた。
その指先はひんやりと冷たく、まるで冷蔵庫から取り出したばかりのチョコレートのような感触だった。