Sugarless -君だけがいた時間-
「俺は夢の中で、階段をのぼってるんだ。暗くて、細い、螺旋階段。
ひたすらのぼっていくと、やがて頂上に辿りつく。
そこには重い扉があって、開くと、窓も無いような狭い部屋が現れる……。
まるで牢獄みたいな部屋だなあって、俺は毎回思うんだ。
部屋の中央のでっかい柱からは、一本の鎖が垂れ下がっている。
ああ、本当に牢獄なんだ……俺は、部屋に入っていく」
「………」
「鎖は何のためにあるかっていうと、女の人をつないでるんだよな。
柱に寄りかかるようにして、ひとりの女性が座ってるんだ。
うつむいてて顔は見えないけど、手首にはめられた手枷がひどく重そうで……。
俺は、その人に手を伸ばした」