Sugarless -君だけがいた時間-

しんとした部室は、楓の声を不気味なくらいに反響させた。

私は魅入られたように、彼の声に耳を傾けた。


「そしたらさ、いつのまにか俺の手の中に、小さい鍵があるんだよ。たぶん、それは彼女にはめられた手枷の鍵――
そう、彼女を自由にしてあげられる鍵だ」


「……それで、楓はどうしたの?」

「隠した」

「え?」

「俺はその鍵を、ポケットに隠したんだ」


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