Sugarless -君だけがいた時間-
バカな人たち。私は鼻で溜め息をついた。
夫婦とはいえ他人に、何を期待しているんだろう。
人の色と混ざり合う、ということが私はとてもおぞましい。だから、単色で生きている。
もしそんな私が侵食されることがあるとすれば、それは誰かと混ざるのではなく、塗りつぶされるときだと思う。
――そしてその夜、私は夢を見た。
夢の中で私は質素な洋服を着て、冷たい床の上に座っていた。
あたりを見回す。
ゴツゴツした石の壁に囲まれているだけで、窓すらもない。
重そうな鉄の扉がひとつ。
部屋の中央には一本の柱。
そしてそこからサビついた鎖がぶら下がり、私の両手首へと繋がって、自由を奪っていた。