Sugarless -君だけがいた時間-
久しぶりに会おうよ、と楓は言った。
うん、と私は答えた。
大学生になった楓は、ほんの少しだけ表情が大人びた気がした。
肌触りの良さそうなセーターを着て、ジャケットの襟をいじりながら、私が到着したのを見つけると、「よお」と静かに笑った。
「呼び出してごめんな」
「ううん。私の方こそ、突然電話してごめん」
「いや、嬉しかったよ」
「私も」
「……」
「……」
「なんか変だな、俺ら」
「うん、よそよそしいね」