水に映る月
 

慧は、黙っていた。

何かを考えているみたいに‥。


「あたし‥、空の月になりたい‥。だから‥。」


あたしは、慧の右手を取って、自分の首へと誘(イザナ)った。


「ケイちゃん‥、殺して‥?」


慧は目を細めて、困った風に微笑んだ。


あたしも涙が止まらない目で、ニッコリ笑った。


深く切なさが二人を包んでいく。


縮めることの出来ない距離に、もう苦しまなくていい。


彼の手首を掴んだ指に、あたしはギュッと力を籠めた。


 
< 335 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop