水に映る月
 

あたしは、答えることをしなかった。

慧は、あたしの隣に寝転んだ。


「純ちゃんを、ここまで追い詰めたんはオレやから‥。純ちゃんが望むんやったら‥。そう思ったけどな‥、やっぱ、無理や‥。」



慧の横顔も、形の綺麗な唇も、サラサラした黒い髪も‥

全部がすき‥



あたしは、彼を見つめていた。



「初めて三ノ宮で会った時な、純ちゃん、目ぇ合わせて来たやろ?可愛い子やなって思ったな‥。」



─ もしかして、ヒマ? ─



─ 忙しいし♪ ─



「つい、声掛けてたな‥。オレ‥。」


慧の言葉を聞きながら、あたしは出会った頃のことを思い出していた。


 
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