水に映る月
レストランで食事をしている時だった。
不意に、慧のケータイが鳴った。
彼は、お水を一口飲んで、ケータイを開くと、ちょっぴり怪訝な顔をした。
そして、席を立って、電話の相手と入口付近で話していた。
五分ほどで戻って来た彼は
「ごめんな。」
と、謝って、また食事を続けた。
─ カノジョ‥、いるのかな?
慧の部屋には、女の子を感じさせるものが一つも無かったから‥。
勝手に、カノジョはいないと思い込んでいたあたしは、急に不安になった。
「電話、カノジョから?」
さりげなさを装って、あたしは質問を投げ掛けた。