記憶混濁*甘い痛み*2

「何も……私が心を揺らす事ではないわ……」




そう、それでいい筈だ。


きっと男の人の涙を見て、必要以上に感情が揺さぶられただけ。


ただ、それだけの事よ。


それだけの……




友梨はふぅ…と、大きく息を吐くと、扉にもたれながらノロノロと立ち上がり、病院へと帰って行った。


胸の奥に、無視するにはあまりにも大きな波紋が、また、1つ……
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