記憶混濁*甘い痛み*2
同じ頃……
友梨の本来の『夫』である和音も、芳情院と同じように、眠れずに溜息をついていた。
暗い室内にうるさく光るパソコンのディスプレイには、友梨の姉の万里子が以前メールに添付して送ってくれた写真が映し出されていた。
見ているのは2人の結婚式の写真。
一度目は、送ってもらって早々に、友梨とじゃれあいながらページをめくった。
カチ……
クリック。
ディスプレイには、可愛い妻がドレスの胸元を気にして、指で布地を引き上げている姿が映し出された。
「……」
和音はクスっと笑うと、切な気に溜息をついた。
『和音先輩?やはりこれ……』
眉をほんの少ししかませて、和音に唇を尖らせて見せる。
その可愛い友梨の声が、今にも画面から聞こえてきそうだ。
「……やはり少し、ユルイみたいなの。私の……胸、小さくなったって事ですよね?」
白いパールホワイトのドレスに身を包み、涙目で自分を見つめ訪ねる友梨の姿を見て、和音は感嘆の溜息をもらす。
……ヤベェ、マジカワイイ。
「和音先輩?呆れていらっしゃるの?」