記憶混濁*甘い痛み*2
「……なぁに?」
自分を見つめる和音に、首を傾げる友梨。
和音は、肩開きのドレスから出る、明らかに細くなった肩を見て、彼女の痛みの深さを感じていた。
傷付けた、芳情院さんと。
守れなかった、オレと。
多分、罪の重さは、同じ位だ。
「和音先輩?」
和音が自分を見つめて黙っているので、友梨は不安そうな声を出した。
抱き寄せられた和音の胸に、すり…と、頬を寄せる。
その様子を見て、和音はハッとし……
「ゴメン。友梨が綺麗過ぎて見とれてた」
……とか言う月並みな台詞を言ってしまう。
友梨は軽く顔を上げると。
「……うそつき」
と、言って、大きな瞳で和音を睨んだ。
白い肌に、大きいのにケバケバしくはない丸い瞳。
品の良い形の鼻に小さな紅い花びらのような唇。
柔らかな半円を描く眉、栗色の滑らかな髪。
可愛い彼女は、ほんの少し唇も尖らせた。
「ウソじゃないよ、本心」
だって、いつだってそう思ってる。
和音は尖ったままの友梨の唇に、優しいキス。
「……もぉ、ばか……」
そう言いながらも、友梨は唇を解いて和音に舌を預けた。