シブヤクーロン
 
 家を出る支度をしたけれど、まず依子の荷物をほどいた。


確かにあの女はヤバいひと。
だけどこの家がなかったら、あたしたちは生きていけない。


依子は一夜一夜男の家に行くの平気そうだけど、親友をまたそんな風にさせたくない。



あたしがその役をして、いつか家を手に入れてもいい。
でもそしたらこんなに怯えてる依子をひとりにするんだぜ?



「依子、あたしが守るから、もう少し耐えよ。あの人この家ではヤッてなかったし、安田さんにチクるからさ。」

「‥」
 
「あたしたち、この家なかったら暮らしてけないよ。」
 
「いいよ。また渡り歩く。」
 
「だめ!もうそんなんしちゃだめだよ!せっかく仕事だってもらえたんだし。」
「あんた甘いよ!家出女のくせに!」
 
「あんたこそ!だいだいなんのために家出してんのよ!」



 17で家を出たあたしらに理由なんてない。
ただのけんかになってしまった。


傷ついてる依子と‥


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