妄毒シチュー
普段めったに怒らないコータがムキになるのが面白くて、この写真を無理矢理もらったんだよな。
ことあるごとにこの写真を持ち出して笑うあたしに
『お前、本当にデリカシーないな!』
って、コータはいつも怒ってた。
「はぁ……。なんか激しく自己嫌悪」
あたしはゴロンと寝返りをうち、床の上でうつ伏せになってズリズリと部屋の隅に進む。
なんか、考えれば考えるほど自分がイヤになってきた。
今、冷静になって思い返せば本当にデリカシーがない発言だったと思う。
もしかしたら、コータのうちは再婚だったのかもしれない。
お母さんとは血が繋がってなかったのかもしれない。
それなら、こんなにコータだけ似ていないのも
いつもは穏やかなコータがあんなにムキになったのも
全て納得できる。
「はぁ……」
自分のデリカシーの無さにうんざりした。