妄毒シチュー

部屋の隅でサナギになるあたしに近づいて耳元で優しくささやく。

「俺はミナちゃんのそういう大雑把で素直な所、キライじゃないよ」

言いながら手を伸ばし、あたしの顎を持ち上げ上を向かせる。

「こうやって落ち込んでひとりで泣いてる顔も、可愛い」

わざと耳元をくすぐるように甘い吐息だけで笑う、まるで悪魔のような自称天使。


「泣いてなんて……」

ないっつの。


そう言い返そうとしたけれど
気がつけば、あたしの瞳には涙が滲んでいた。

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