妄毒シチュー
「…………え?」
あたしは身体を起こしてその言葉の意味を聞き返そうとした。
けれど、
力を入れたはずの腕がうまく身体を持ち上げられず、くたりとソファーに崩れ落ちた。
「美味しかったでしょう?毒入りのワイン」
床に転がった空のワイン瓶をコツン、と足先でつっついて穏やかに微笑むニセ天使。
瓶の中に残った赤い水面が揺れ、紅い夕陽を反射する。
「何を、バカな事を言って……」
そういいかけたあたしの言葉を遮って、綺麗な指が唇に触れた。