妄毒シチュー
「さっきから、コータの事ばっかり考えてるね。
目の前に俺がいるのに」
「え?」
自分の考えを見抜かれたことに驚いて手を引っ込めた。
ばつ悪い気持ちを誤魔化すように目をそらしたあたしを見て、ニセ天使がまたひとつ大きなため息をついた。
「ミナちゃんに毒薬は効かないのかな。
それともそんな薬じゃ揺れないくらい、コータの事がまだ好きなの?」
あたしを見下ろしながら軽く笑う綺麗な唇に、微かに浮かんだ苛立ちと苦しみ。
その表情があまりに魅惑的で、ぞくりと背筋が震える気がした。