妄毒シチュー

せめて、あなたとコータの唯一の共通点が、声だったりクセだったり体格だったらよかったのに。

キスをしようと顔を寄せ目を閉じる瞬間、どうしても視界の端で確認してしまう綺麗な白い耳。

それを見ると幸せだった記憶があたしの僅かに残った理性を呼び起こす。


いっそ
あたしのそんな躊躇いなんて無視して、強引に抱きしめてくれたらいいのに。



「そんな悲しい顔しないでよ」

黙り込んだあたしの頬を優しくなでながら、ニセ天使が小さく笑った。
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