妄毒シチュー
コータが不幸になったら、あたしは気がすむのかな。
そんな事であたしは救われるのかな。
ぼんやりと考えながら部屋の中を見回すと、隅に置いてあったごみ袋が目についた。
半透明のごみ袋から覗いた一枚の古い写真。
幼いコータの無邪気な笑顔。
それを眺めながら、あたしは首を横に振った。
「ごめん、その願い事はやっぱり嘘。コータを不幸になんてしないで」
目の前のニセ天使の綺麗な茶色の瞳をまっすぐに見つめて言うと
「ほんと、ミナちゃんは無欲だね」
彼は呆れたように笑った。