妄毒シチュー
「んで?」
「んで、部屋に入ったらソファーでミナが寝てるから、起こしちゃ悪いと思って」
「あたしが寝てる隙に、勝手にシチューを盗み食いしたんだ?」
「……ごめん」
トイレのドア越しに聞こえてくる遠慮がちな声。
きっとトイレの便座に座って、大きな体を小さく縮めてしょんぼりしてるんだろう。
なんて情けない男だ。
「だってさ、部屋中にシチューのいいニオイしてたし。
もうミナのシチューを食べられないんだと思ったら、最後にもう一度だけでいいからどうしても食べたくなって……」
「んで、シチュー食べてたのになんでトイレに籠ってるの?」
「ああ、なんか食べてる途中で急に腹痛くなって……」