猫に恋する物語
*第九幕
そこまで考えがいたると急に怖くなってきた。怖気づいた。

なんで私は怖いんだろう。

あんなに会いたいのに。あんなに姿を探し求めて。

再会をもとめて。

その手掛かりが、ようやく見つかったというのに、なぜ “嬉しい”じゃなく“怖い”なんだろう。

分らない。分らない。自分が分らない。

私はどうしたいんだ。

ええい!考えていても仕方がない。

あのおばあさんは知ってるんだから。またいつ会えるか分らない!

もしかすると、もう一生会えないかもしれない。

そう考えると、さーっと体が冷えていくのが分かった。

そんなの嫌だ!それだけは。せっかくのチャンスなのに。

結局私は、非日常に恐れをなしていただけだ。

平穏な、この安穏な日々とお別れするのが怖かっただけだ。
けして、けっしてメタボに会うのが怖いわけじゃない。


そうだ。きっとそうだ。

なにか。なにか予感がしていた。あのおばあさんにあった瞬間から。

日常がさーっと遠のいていくような。

そんな感じが。

とりあえず寝よう。起きたら頭がスッキリしているかもしれない。


そしたら□に相談して、それから探しに行こう。
あのおばあさんを。
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