体だけでも繋ぎ止めたい
戻る途中で、優夜が何度も私を気にしてくれてた。
言葉にはしないけれど、相変わらずうるさいけれど
私の顔色一つ見逃さないようにしてくれていた。
「あ!姫乃たちどこ行ってたの〜!?」
戻ると、パラソルの下で眩しそうな顔をするユリがいた。
「あれ?ユリちゃん一人?」
「剛と健斗は海行ったきりだよ!」
それを聞いて、私は辺りを見渡した。
陸と彼女の姿はない。
「オレ置いてかれたわ」
「優くんが消えたのがいけないんだよ!みんなで探したし」
「いや〜お腹減って我慢できなくてさ」
嘘つき。
結局何にも食べてないじゃん。
この可愛い笑顔で言われたら
嘘をつかれても気付かない。
この人は、今までに
一体何度嘘をついたんだろう……
そう思ったら
何だか恐ろしい。
「そんで、陸は?」
ーーードキッ!
陸の名前を聞くだけで
私の心臓が早くなる。
「あ〜陸もお腹減ったって海の家行ったんだけど…戻って来てないね」
……え?
ユリのその言葉を聞いて
全身の血の気が引いていく。