~とある教師と優等生の恋物語~
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画家を夢見ていた俺に油絵のなんたるかを教えてくれたのは、倉澤先生だった。


兄貴のあとを何も考えずに、倉澤先生の推薦を受けて追った俺。


能天気に通いだした立石美術大学で耳にしたのは兄、太郎の事。


“島太郎は親の七光り。特に才能もないのに、芸術家気取ってる”


そんなような事ばかり。


太郎は芸術家気取っているわけじゃなくて、本当に美術が好きだっただけ。


周りの教授が親を知っていて「ああ、島五郎先生のご子息」と教授が言っただけ。


明るくて大胆不敵な性格を演じていた太郎はただでさえ目立つのに、さらに家柄も手伝って大学一の有名人だった。


味方もいたけれど敵も多かった。


そして本当は誰よりも繊細で傷つきやすかった。


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