~とある教師と優等生の恋物語~
「ジロー君。キミは太郎君に関係なく輝かしく芸術界を走りぬける逸材だと思っていたから――」


クスリと笑う倉澤先生は少し寂しげに見える。


窓の外は闇。


「すいません。まるで走りぬけなくて」


「いやいや、ジロー君は繊細だったんですね」


カップの中のお茶をグイッと飲み干す。


「ジロー君には絶対に言わないって言う約束なんですけどね」


「はい?」


「太郎君が言ってました。『ジローを頼みます』って」


「え?」


「『どうかあのバカにもう一度絵を描くことを教えてやってくれませんか?』って言われてたの、僕」


「、」


衝撃だった。
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