~とある教師と優等生の恋物語~
あの頃を後悔してるんだと思いますよ太郎君も、と倉澤先生のしっとりとした声が小さな部屋に響く。


「ジロー君の才能が恐いってのは本心でしょうが……兄としての気持ちがあるのも確かなんでしょう」


親父の築いた地盤と流れ。


それを継ごうとしていたタローが「お前のせい」と言ったのは本心だと思っていた。


「でも、半分は血を分けた兄弟だから。好きな絵を描かせてやりたいって思うんだそうです。

家族だから……太郎君も葛藤してるんですね、きっと。

『画家としては描いて欲しくないけど、兄としては描いて欲しいと思うんです』って泣いてるみたいに笑うんだよね、太郎君は」


(なんだ、それ)


「キミ達は、よく似ているよ」
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