もっと溺愛以上
突然、有星が私に向き合おうとしている理由がわからない。
というよりも、今日の夕食の時に父さんが口にしていた言葉も謎だらけだった。
私が美大に行きたいって言い出した事がきっかけなんだけど、結局、有星と私の関係を突き詰めるような流れになったし……。
私の恥ずかしさが勝ってしまって、私自身が、その流れは食い止めたんだけど。
今更だけど、父さんと有星の話って一体どういう事だったんだろう。
ぼんやりと、思い返していると、私を呼び戻すような有星の声が聞こえた。
「俺、弁護士になって、健吾さんの事務所を引き継ぐから、何も気にせず美大に行っていいぞ」
「え?弁護士?」
「そう。桜が弁護士になりたくないって思ってるの、ばればれだったしな。
なら、俺が弁護士になって健吾さんを手伝うよ」
「あの、……どうして、有星が?弁護士になりたいって聞いてなかったけど」
有星が何を言ってるのかよくわからない。
弁護士になるなんて、有星が口にしていた記憶は全くない。
かといって、将来の目標を聞いた記憶もないけれど。
「健吾さんは、事務所を引き継いでくれるなら、婿入りはしなくていいって。
だから、桜の名前は、『真田 桜』になるから。
俺が18歳になったら、籍入れていいってさ」
「婿入り……籍……?」
私、おかしくなっちゃったのかな。
将来、まるで有星と結婚するような前提で、話が進んでるような気がするんだけど。