もっと溺愛以上


「夢見てるわけでも、聞き間違いでもないぞ」

有星は、呆然とする私の肩を抱いて、ソファに連れて行った。
並んで座った途端、引き寄せられて、私は有星の胸に頬を当てて抱きしめられていた。
背中に感じる有星の手の温かさも、聞こえてくる有星の鼓動も、初めてのもの。

小さな頃から側にいたといっても、こんなに近い距離で有星を感じた事はなかった。
幼馴染としての関係を壊さないように、気を付けていたから、一定の距離感を大切にしていた。

そうしなきゃ、幼馴染として特別な位置にいる私の存在を抹消されそうで怖かったんだ。
有星が大好きで仕方がなかったから、その位置に満足しているつもりでいた。

でも、一度でもこうして寄り添うと、もう前の関係には戻れないって切なくなる。
有星の体温を感じられる距離で側にいたいし、他の女の子には、もう譲れないって思う。

「俺だって、ずっと桜を見てきたんだ。だから、俺を好きだっていう気持ちにもすぐに気付いてた」

「本当……?全然気づかなかったよ」

「うーん。俺がうまく隠してたのもあるけど、桜はいつも、健吾さんと柚さんに意識を集中させて、他の事はどうでもいいって感じだし。
桜が抜群に成績いいのも、柚さんのためだろ?」

「……」

一瞬で、私の顔は強張ったけれど、有星の胸に顔を埋めているおかげでばれなかったと思う。
それでも、どうして見抜いていたんだろうって、ドキドキした。
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