もっと溺愛以上
「は?悔しい?」
小さく呟いた私の声に驚いた有星が、私の体を離して、顔を覗き込んだ。
涙で濡れたままの顔を見られて、私は、思わず俯いた。
「桜?悔しいってなに?俺を好きじゃないのか?」
「違う……」
大きくため息。
「そうやって、余裕の有星が年上みたいで悔しい。
今まで、必死で隠してた私の気持ちも見抜いてたし、弁護士になるなんて聞いてなかった。
おまけに、父さんに、結婚の許可までもらってるなんて。
私が喜ぶことばかりをさっさとすすめられて、嬉しすぎて悔しいのっ」
最後は、まるで怒ってるみたいな大きな声で叫んでしまった。
「今まで何も言ってくれなかったのに、突然私を嬉しがらせることばっかり言ってくれるんだもん、どうにかしてよ……」
泣くつもりなんてないのに、溢れる涙は止まらない。
今まで抑えてきた気持ちがどんどん流れてくる。
母さんを大切にし過ぎて、自分を後回しにしてきた、これまでの気持ちや、有星への切ない気持ち。
全部全部、流れてくる。
私の頬を撫でながら、優しく見つめる有星は
「早く、『真田 桜』になろうな」
そう言って、笑った。その顔は、今までに見た事もないような艶やかな笑顔だった。
そして、私たちは、初めて、キスをした。