飼い犬に手を噛まれまして

 副社長、坂元星椰と彫られた名札の席にワンコは座る。他の重役たちも集まっていて、副社長席の隣がヒゲモジャの専務の席だ。


 こうして見回してみると、ワンコだけが断然若くて、場違いにも見える。

 専務は、ワンコの方は見向きもせずに自分の秘書に熱心に指示をだしている。


 坂元社長が部屋に入ると、全員起立して頭を下げた。



 下の階で経験した会議とは、全然違う緊張感ある会議が始まる。進行役の人の話を聞き漏らさないようにメモをする。ワンコは、じっとその席に座っていた。



「続きまして、BNJのフェスティバルの議題に移ります。お手元の資料をご覧ください」


 紙がこすれる音が会議室全体に響く。






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