飼い犬に手を噛まれまして
「普通ですか……でも、俺たち普通の恋人みたいにはなれない。深陽が何を考えているか全然わからない。あいつには、もう俺の存在なんて過去で、メディアでは話題にされてないけど本当はフィアンセがいたのかもしれない」
論点は巡り巡って、また振り出しに戻る。何度も同じ事を悩んで、その人のために時間を使うことも恋愛なのかなぁ……と。
「私は、深陽さんじゃないからその答えはわからないけれど、でも一度は好きになった相手だから特別な感情は残ってるはずだよ」
「俺もバカだったなぁ……深陽が態度を変えたから、慌てて家を飛び出して、稼ぎなんてないくせに一緒に暮らしてくれ、って結論を急いだんです。
俺には深陽しかいない、全部捨てたっていい……って思ってた。でも深陽はそんなことをして欲しかったわけじゃなくて、二人で解決の糸口をみつけたかったのかもしれない。お互いに負担がないよう、何か解決策があったのかもしれない。結局、俺は一人で突っ走って、気がついたら本当に一人ぼっちでした。
深陽は、無知な俺より仕事をとったんです。
それに成果も出してる。今は俺がいくら二人でいれるように話し合おうと言ったって聞く耳持たない」