飼い犬に手を噛まれまして


 ワンコが顔をあげた。


「すみません。辛気くさい話ばかりですね。紅巴さんも一緒にバイト探しましょう」

「うん、そうだね。私、無職か……先輩に申し訳ないし、食費くらい稼がないと。あ、ワンコ、先輩の部屋に転がり込んでくるのだけはダメだからね!」


「わかってますよ、そこまで神経図太くありません。
 でも、郡司さんには一度謝らないと。この前苛々してたから子どもじみた八つ当たりして本当にすみませんでした」


「先輩わかってくれてると思う。見かけによらずヤキモチ妬きだから、けっこう大変だったけどね。大人なのに大人じゃない部分があって、そういう人だから才能に溢れてるのかも」


「ノロケないでくださいよ! ヤキモチかぁ。あ、いらなくなったら、紅巴さんのこと、いつでも手放してください。って言ってみようかなぁ。
 そしたら、また飼い犬からはじめてみようかと……」


「そんなこと絶対にないっ! それにワンコは人に甘えないで、自立してよ!」




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