飼い犬に手を噛まれまして

────星梛が去ってからの一週間は、本当に長い。

 眠れない夜に、疲れがとれない朝、重い体を引きずりながら仕事をする。


 これから、ずっとこんな毎日を過ごさないといけないなら、星梛がしてくれたみたいに私も辞表を出して日本に帰ればいいのかもしれない。


 だけど、星梛には背中押してくれた紅巴さんがいた。


 優しくて綺麗な人だった。周りを安心させるような独特のオーラがあって、つい頼ってしまいたくなる人だ。


 紅巴さんがいれてくれたゴディバのフレーバーコーヒーが懐かしい。




 嫉妬の味だ。



 この人が星梛と暮らしてる、て私はゴディバのフレーバーコーヒーを飲みながら確かに嫉妬していたんだ。





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