飼い犬に手を噛まれまして

「みはる、遅かったじゃない」


 まず母の不満そうに唇を尖らせた顔が目に飛び込んできた。
 

「何をしていた?」と憤慨したような父もいる。


「ごめんね、ちょっと居眠りしちゃってた」


「まあ、いい。はやく部屋に入れてくれ」



 どうしよう……部屋には星梛がいる。さっき、そこの通路で熱心に抱き合ってしまった星梛がいる。



「レストラン予約したの、今すぐ行かない?」


「みはる、フライトで疲れているんだ。少し休ませてくれ」


 父の呆れたようなため息も聞こえてきた。



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