飼い犬に手を噛まれまして
先輩は両手でハンドルをぎゅっと握りしめて、「へえー」と涼しい声を演出した。
「あの、無理してない?」
「全然」
なんだか雲行きが怪しいよ。
「あっ! そうだ! ワンコ、みはるさん会議終わったんじゃないの? 連絡しなくていいの?」
「携帯持ってないんで、紅巴さんち集合ってことになってます」
……………また、勝手にそんな約束して。
「ふーん、じゃあ帰るか」
レクサスがぐんっともの凄い勢いでカーブを曲がり、思わずワンコと肩がぶつかる。
今夜また寝かせてもらえないんじゃないですか……と耳元で囁かれて、一気に体温が急上昇した。