飼い犬に手を噛まれまして

 先輩は両手でハンドルをぎゅっと握りしめて、「へえー」と涼しい声を演出した。


「あの、無理してない?」

「全然」


 なんだか雲行きが怪しいよ。


「あっ! そうだ! ワンコ、みはるさん会議終わったんじゃないの? 連絡しなくていいの?」


「携帯持ってないんで、紅巴さんち集合ってことになってます」


 ……………また、勝手にそんな約束して。



「ふーん、じゃあ帰るか」


 レクサスがぐんっともの凄い勢いでカーブを曲がり、思わずワンコと肩がぶつかる。


 今夜また寝かせてもらえないんじゃないですか……と耳元で囁かれて、一気に体温が急上昇した。




< 486 / 488 >

この作品をシェア

pagetop