飼い犬に手を噛まれまして
期待してる自分が、すごく恥ずかしい……
わざとしてるわけじゃないんだけどな。
「でも、やっぱり紅巴さんたちを見てると何度でも夫婦っていいなーと思います。俺も真面目に就職先見つけて真剣に考えてみようかなぁー」
ワンコがうーんと伸びをした。
あの日行くあてがなくて私のマンションにやってきたワンコ。だけど、こうやって少しずつだけど前進しようとしてるんだよね。
レクサスを地下の駐車場に停めて、マンションのエントランスに入るとみはるさんが待っていた。
そこで女王様たちに捕まった話をいちから説明すると、その途中でみはるさんはワンコに強烈なビンタをくらわせた。
「馬鹿ね! また紅巴さんに迷惑かけて」
「ごめん、みはる! お許しください」
だけど、その様子もなんだかすっかり見慣れてしまってビンタされたワンコがちょっとだけ喜んでいるように見えたのは、あの異様な光景を目の当たりにしてきたからなのかもしれない。
「紅巴さん、郡司さん、本当にご迷惑おかけしました。私たち次の約束があるのでこれで失礼します。こっちにいる間、また一度くらい食事しましょう。予定合わせるので、連絡ください」