元男装少女-アイドルになった双子の妹の物語-
「いい加減にしろ!」
「っ、」
陽の怒声に、びくりと体が震えたことりは不安そうな表情で兄を見る。
「きっと皆、同じ気持ちなんだ。不安なのもわかるけど、俺達はプロなんだ。仕事を放棄すれば、おおくの人に迷惑がかかる。今するべきことをしろよ。」
「ッ...。」
「...俺は仕事にいくから。」
陽は力なくそう言い残して楽屋を出て行った。
「ことり、」
俯いていることりに、郁が視線をむける。そして彼は綺麗に笑った。
「大丈夫だ。俺達は仲間だろ?俺達が同じ気持ちであるかぎり、スカイはなくならない。」
「...郁、」
ぽんぽん、と頭を撫でてくる郁の優しさを感じて涙が溢れてくる。
「、ありがとう、郁。」
郁はふ、と笑うとことりから離れて「また連絡する。」と言い残し楽屋を出て行った。1人残されたことりは涙をふくと、パンパン、と頬を叩き気合いをいれる。
もう、私は普通の高校生じゃない。
しっかりしなきゃ。プロ、なんだ。

